株式投資を行うなら必ず読んでおきたい名著を紹介したいと思います。
インデックス投資
敗者のゲーム (チャールズ・エリス)
米国の経済界の巨頭、チャールズ・エリスにより上梓された投資本です。
初版から30年以上経ちますが、色褪せることなく今日まで読み続けられてきています。
内容紹介
投資で成功するというのは、難しい証券分析などの専門知識や経験を身につけることではなく、ましてや短期的に市場を出し抜こうとすることでもない。市場平均利回りを上回る(=市場に勝つ)ことがきわめて難しくなった今、最も簡単かつ結果の出る方法は、インデックス・ファンドを活用することである。
全米累計100万部を超えるロングセラーの最新版。プロ・アマ問わず幅広い投資家に向けたメッセージとして、時代を超えて読み継がれる運用哲学のバイブル。
著者情報
エリス,チャールズ(Ellis,Charles D.)
1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBA、ニューヨーク大学でPh.D.取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、1972年グリニッジ・アソシエイツを設立。
以後、30年にわたり代表パートナーとして、投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングに腕を振るう。
2001年6月代表パートナーを退任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。
「BOOK」データベースより
敗者のゲーム
著者は、個人投資家による株式投資を「敗者のゲーム」と位置づけています。
- 勝者のゲーム 優れたプレーをした方が勝つ(プロ)
- 敗者のゲーム 沢山ミスした方が負ける(アマチュア)
ここで言うプロとはファンドなどの機関投資家のことで、市場は彼らにより値動きが握られています。
つまり、市場の動きはプロの動きの総和であり、それを表したのがインデックス指数となります。
値動きを読むのってとても難しい。。
インデックス ✖️ 長期保有
それでは個人投資家が株式市場で成果を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
本作では、以下のように結論づけています。
市場平均に連動するインデックスファンドに投資して、長期で保有し続ける
統計上、投資家にとっては株式に投資して、長期間そこにとどまっている資金の運用成績が最高となっています。
(過去75年のうち、上昇の大部分はわずか60ヶ月(7%)の間に達成されていて、チャンスとなる買い時は本当に限定的です。)
また、運用収益を評価する際には、インフレ率の変動も加味する必要がありますが、
インフレ率変動を調整した後の収益率の変動幅は、債券などを含めた金融商品の中では株式の長期保有が最も有利(ほぼ確実に増える)と言っています。
個人投資家の十戒
最後に、個人投資家の十戒としての著者の主張をご紹介します。
ウォール街のランダムウォーカー (バートン・マルキール)
チャールズ・エリスに肩を並べる、米国経済界の権威者バートン・マルキールの古典的名著です。
時代を超えて読み続けられている株式投資のバイブル本です。
本の紹介
個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、遙かによい結果を生む。
低成長、AIの時代に勝つ手法とは?「リスク・パリティー」など最新の戦略も解説。
著者情報
マルキール,バートン(Malkiel,Burton G.)
1932年生まれ。1964年プリンストン大学経済学博士。同大学経済学部長(74-75、77-81)、大統領経済諮問委員会委員(75-77)、エール大学ビジネス・スクール学部長(81-88)、アメリカン証券取引所理事等を歴任。
世界的な投信会社バンガード・グループなどの社外重役としても活躍。現在、プリンストン大学名誉教授、ウェルスフロント・インクチーフ・インベストメント・オフィサー、リバランス社投資アドバイザー
「BOOK」データベースより
本書が主張していることを要約すると次の通りです。
インデックスファンドへの投資がベスト
ランダムウォーク
著者は、市場の値動きを「ランダムウォーク」として捉え、それについて以下のように説明しています。
ランダムウォークとは
・ 市場の過去の動きから将来の動きを予測することは不可能
・市場に一定の法則は存在しない
よって
・チャート分析(テクニカル分析)は意味がない
・財務諸表などの分析(ファンダメンタル分析)も意味がない
アクティブファンドの否定
アクティブファンドをバッサリです
その根拠として、
プロが運用するアクティブファンドの長期リターンすら市場平均を上まわる成績を出せないデータが存在することを引き合いに出し、
最強なのはインデックスで平均値を狙うことだと結論づけています。
インデックス投資のメリット
そのメリットとして、次のこと挙げています。
・分散投資できる
・低コスト(手数料が低い)
・幅広い分野へ投資できる
加えて、投資の際に以下の点に留意することが重要だと述べています。
・ドルコスト平均法を利用した長期積立投資でリスクをならす
・アセットアロケーションを最適化する
投資の総リターンの90%は資産配分で決まる(金融商品・投資先など)
残りの10%は具体的な銘柄や投信
高配当投資
株式投資の未来 (ジェレミー・シーゲル)
2005年に初版が発行された投資本です。上に紹介した2冊に比べると、出版されて日が浅い作品です。
本の紹介
常識を覆し、銘柄選択のあるべき姿を提示した、株式投資の新しい教科書。
成長株投資や割安株投資の誤り、そしてバフェット流のバリュー投資手法の正しさを、過去100年以上の膨大な市場データをもとに立証。長期投資のバイブルとして知られる前著『Stocks for the Long Run』の結論をもう一歩掘り下げ、「成長の罠」に陥ることなく、市場平均を上回るリターンをもたらす銘柄を突きとめた。
どの銘柄に、どのように資金を配分すれば、長期的に資産を積み上げることができるのか、そのための戦略を具体的に紹介する。「すべての投資家が学ぶべき新しい事実」(ウォーレン・バフェット)を呈示した注目の一冊。
著者情報
シーゲル,ジェレミー(Siegel,Jeremy J.)
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授(金融学)。コロンビア大学卒業、マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士取得。金融市場に詳しく、CNN、CNBCなどでコメンテーターとしてたびたび登場。ウォール・ストリート・ジャーナル、バロンズ、フィナンシャル・タイムズ(FT)のコラムニスト。JPモルガンでの教育研修トレーニングを担当。
「BOOK」データベースより
成長の罠
本書では、株式投資で収益を上げるために理解しておくべき点として、以下のように説明されています。
割安度が重要ってことですね。
更に、より詳しい説明として「成長の罠」というワードを用いています
人気株は割高になりやすいので注意が必要です。
高配当投資
高配当投資の実践には、着実な利益をもたらすセクターを知り、その中から投資対象を選ぶことが重要です。
ヘルスケア、エネルギー、生活必需品など ▶︎ 長期で確実なリターンを還元
* 一部の企業(J&J、P&G、エクソンモービルなど)はS&P500を上回ったリターン
配当利回りが高い企業を選ぶ ▶︎ 高配当は信頼の証
ディフェンシブで財務健全性が高い企業が該当しますね。
また、著者は、より多くのリターンを得るために配当再投資を重視しています。
その根拠として、
1971〜2003にかけての株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出した。値上がり益は3%に過ぎない
という統計データを提示しています。
次に、高配当投資のメリットとして、デフレへの耐性を説明しています。
・株価下落時に配当は大きく下がらないクッションの役目&口数増加の機会
・分配金再投資で回復時にはアクセル(配当アップ&値上がり益で二重利益
・企業内部での再投資は不透明な部分があるのに対し、配当は株主にとって信頼性を与える
ポートフォリオの組み方
ポートフォリオの組み方について、長期投資なら100%株式で良いという考え方を示しています。
・実質リターンは株式が一番
・債券はインフレ率が上昇すると実質的に利益が悪くなるリスク
・株式はインフレ率もカバー
さらに、
市場平均を超える可能性のあるポートフォリオの組み方について示しています。(D.I.V指針)
この指針を踏まえて、以下の割合のポートフォリオを例示していますので、参考にしてみると良いかもしれません。
○インデックスファンド:50% (米国株30%、米国以外20%)
○補完:50% (高配当、多国籍企業、ヘルスケア・生活必需品・エネルギー、S&P500にそれぞれ10〜15%ずつ)
個別株
バフェットの銘柄選択術 (メアリー・バフェット, デビッド・クラーク)
投資の世界で知らない人はいない、投資の神様ウォーレン・バフェットの銘柄選定を知ることができます。
本の紹介
優良企業を見極める8つのポイント、絶好の買い場が訪れる4つのケース、投資収益率を高める3つの条件ー23のレッスンを学ぶうちに、投資力が身につく画期的入門書。
著者情報
バフェット,メアリー(Buffett,Mary)
バフェットの息子ピーターの元夫人。12年間、ファミリーの一員としてバフェットの投資を最も身近に見てきた。その後もバフェット家との関係は良好である。現在、ビデオ、企業広報などの編集会社のCEO
クラーク,デビッド(Clark,David)
ベテランのポートフォリオ・マネジャー
「BOOK」データベースより
本書に記されている個別銘柄を購入対象として検討する際の考え方を、抜粋して紹介します。
消費者独占企業とコモディティ型企業
個別銘柄選定の際には、消費者独占企業を選び、コモディティ型企業は避けるべしと主張しています。
では、消費者独占企業とコモディティ型企業の違いとは何なのか見ていきましょう。
ブランド価値が高い
独占企業のように市場支配力を持つ
有料ブリッジを持つ
選択の余地ない魅力
金がかからないブランド
他と差別化できない、低付加価値の事業
低い売上高利益率(ROE)
低い在庫回転率
不安的な利益など
消費者独占企業について、より具体的に言うと、次のように説明できます。
- 長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業
- 他の企業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
- 企業や個人が日常的に使用し続けざるをえないサービスを提供する事業
- 宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売事業
バフェットの言う消費者独占企業とは、「市場で自社にしかない価値を有している企業」のことなんですね。
逆にコモディティ型企業は、他社も同じことができるためライバルが多く、熾烈な価格競争が生まれてしまいます。
8つの基準
それでは、数ある上場企業の中から、消費者独占企業を探し出す方法を具体的に見ていきましょう。
・消費者独占力がある商品・サービス ▶︎ どこにでも需要がある定番商品
・EPS(一株当たり利益)が力強い増加基調にある ▶︎ 将来的な株価上昇の可能性が高い
・多額の負債を抱えていない ▶︎ 長期負債残高が「3年分の利益より少ない企業」
・ROE (株主資本利益率)が15%以上 ▶︎ 投資収益率が高く、効率的な経営ができている
・経営の維持のために、内部留保利益の多くを再投資する必要性がない ▶︎ キャッシュフロー良好
・内部留保利益を固定資産のメンテや開発に投入する必要がなく、高収益の事業拡大や企業買収等に自由度を持って投資できる ▶︎ 成長性がある
・インフレを価格に転嫁できる ▶︎ 材料費や人件費が高騰しても、利益率を維持できる
・再投資の利益が株価上昇につながっているか
▶︎ 右肩上がりに株価が上昇していれば、再投資で企業価値が着実に高まっている
いち早くバフェット銘柄を手に入れられれば、安定的な成長の恩恵を受けられることとなるはずです。