【株式投資】初心者向け!高配当投資の始め方と基本方針<日本個別株&米国ETF>

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株式投資を行う妙味の一つとして、配当金の存在が挙げられると思います。

配当金とは、企業から株主に対して、持株数に応じて一定の額が定期的に支払われる確定利益(インカムゲイン)であり、いわゆる不労所得に分類されます。

株式そのものの価値を減らすことなく、決まったタイミングでより多くの配当金を株主に還元できる銘柄を保有することは、いわば「金のなる木」を保有し育てるようなものです。

そのような「金のなる木」でポートフォリオを組み、インカムゲインの獲得を主眼に投資するスタイルは「高配当投資」と呼ばれます。

この記事では、初心者が高配当投資を始める際のポイントを押さえた上で

高配当投資でインカムゲインを得ることを主眼に、キャピタルの価値も維持向上させることも目指しつつ

日本の個別株と米国の高配当ETFをミックスさせたポートフォリオの組み方について考えてみたいと思います。

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高配当株投資のメリット・デメリット

まずは、高配当投資の特徴とメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

高配当株投資のメリット・デメリット
メリット
  • 定期的な配当により、キャッシュフローが確定利益として手に入る
  • キャッシュの増加で、生活の豊かさ向上にに直結する
  • 配当金再投資により、右肩上がりの資産拡大が実感しやすい
  • 暴落時でも配当が維持され、利回りは上昇するので一定のクッションの役目
  • 分配金再投資で回復時には大きなアクセル(配当アップ&値上がり益)
  • FIRE・サイドFIREを目指す人にとって、嗜好が合いやすい。
デメリット
  • ポートフォリオの成熟株の割合が増え、トータルリターン(売却益+配当金)が市場平均を下回る可能性がある。
  • 配当金に税金がかかる分、インデックスファンドより不利

トータル資産を効率よく増やすというより、日々のキャッシュフローの充実を重視したい人向けの投資方法ですね。FIREを目標とするなら、確定収入を得られる部分で相性が良さそう。

投資の基本方針について

投資を始めるに当たっての基本的な方針について、考えてみたいと思います。

投資目的・リスク許容度を確認

まずは、高配当投資を行う目的とリスクについて再確認してみましょう。

株式はリスク資産であり、生活防衛費と切り分けて管理を行うことが推奨されます

目的:

家計のキャッシュを増やす > 資産の最大化

運用スタイル:

長期投資前提

元本割れするリスクはある(リスク許容度高め)

運用スタイルについては、突き詰めて言えば次の通りです。

究極的には永久保有し、配当再投資で複利効果を狙う

ポートフォリオのルールを決める

次は、具体的にどんな商品をどの割合で購入していくかについて考えてみたいと思います。

ポートフォリオを考える際の基本方針は、長期投資・リスク分散に尽きます。

○ポートフォリオの枠組みを決める
  • 月々の目標リターン 例:毎月の配当額3万円を目標
  • 全体の配当利回り  例:税込み簿価利回りで4%

○保有の構成を決める(リスク分散)
  • カントリーリスク  投資先を一ヵ国に限定しない
  • セクターバランス  最大でも各セクター20%程度、景気敏感セクターはより低めに(5%?)
  • 個別銘柄のリスク  セクターごとの優良経営企業へ投資

ポートフォリオの枠組みを決め、リスク分散として上記の3つのリスクを念頭に置いた上で、

  • 投資先の国別割合
  • 投資先のセクター別割合

を決定していきます。

経験を積む中で定期的に構成見直しをして、最適と感じるポートフォリオを目指すというスタンスでOKです。

カントリーバランス

リスク分散の観点で見れば、全世界を含めて検討するの好ましいですが、

インデックス投資でない限り難しいのが現状です。

高配当投資に限れば、候補銘柄の選択肢が多く、買い付けのための環境が整備されている点で、

米国株と日本株がおすすめです。

  • 市場規模・成長性を考えれば、100%米国でもOK
  • リスク分散の観点で20〜30%程度日本株を含めるのもあり

具体的なメリット・デメリットは以下の通りです。

日本株

為替リスクを考慮しなくて済む

市場規模・成長性で劣る可能性がある

優良な高配当ETFがなく、投資家自身でポートフォリオを組まなければならないため、初心者にはリスク高め

米国株

世界最大の市場を誇り、今後の成長も見込まれるため、長期的には今後も右肩上がりの上昇が続く可能性が大きい

優良な高配当ETFが豊富に存在するため、初心者でもリスクを抑えて高配当投資が可能

買付手数料や税金が掛かる(税金は一定の割合で還付可能)

為替リスクがある(円高ドル安の場合は資産が目減りする)

セクターバランス

セクターバランスを考慮する際にまず押さえておきたいこととして、

景気敏感株(シクリカル銘柄)が多く集まるセクターと安定株(ディフェンシブ銘柄)が多く集まるセクターに大きく二分類されるということです。

景気敏感セクター

景気動向により株価が変動しやすく、景気加熱時や経済危機など市場全体(平均株価)が大きく変動する際に、一緒の値動きになりやすい(ボラティリティが高い

ディフェンシブセクター

景気動向に左右されにくく、値動きが少ないため、大きな成長は見込めないが安定的な配当が見込める

これらのセクターを知るために、まずは日本と米国の株式市場で用いられている投資セクターの区分について見ていきましょう。

日本市場

主にTOPIX-17東証33業種という2つの分類が存在します。

前者が大分類、後者が小分類に近い感覚です。

投資セクター(TOPIX-17 : 東証33業種)
  • 食品:水産・農林業、食料品
  • エネルギー資源:鉱業、石油・石炭製品
  • 建設・資材:建設業、金属製品、ガラス・土石製品
  • 素材・科学:繊維製品、パルプ・紙、化学
  • 医薬品:医薬品
  • 自動車・輸送機:ゴム製品、輸送用機器
  • 鉄鋼・非鉄:鉄鋼、非鉄金属
  • 機械:機械
  • 電機・精密:電気機器、精密機器
  • 情報通信・サービスその他:その他製品、情報・通信業、サービス業
  • 電気・ガス:電気・ガス業
  • 運輸・物流:陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業
  • 商社・卸売:卸売業
  • 小売:小売業
  • 銀行:銀行業
  • 金融(除く銀行):証券、商品先物取引業、保険業、その他金融業
  • 不動産:不動産業

この内、景気敏感セクター・ディフェンシブセクターに分類される主なセクターは、以下の通りです。

景気敏感セクター
  • 自動車・輸送機
  • 電機・精密
  • 機械
  • 鉄鋼・非鉄
  • 素材・化学
  • 海運

ディフェンシブセクター
  • 食品
  • 医薬品
  • 電力・ガス
  • 運輸・物流
  • 情報・通信業

その他、金利変動を受けやすい「金利敏感セクター」の業種も存在します。

金利敏感セクター
  • 銀行
  • 不動産
米国市場

トータルで11のセクターに区別されます。

同様にこれらは景気敏感セクターとディフェンシブセクターの大きく2つに分けられています。

セクターとその代表的な銘柄は以下の通りです。

景気敏感セクター
  • 情報技術   AAPL・GOOGL・MSFT
  • 一般消費財  AMZN・CMCSA・HD
  • 金融     JPM・WFC・BAC
  • 資本財    GE・MMM・BA
  • 素材     DOW・DD・MON
  • エネルギー  XOM・CVX・SLB
  • 不動産    RMR

ディフェンシブセクター
  • 電気通信   T・VZ・TMUS
  • ヘルスケア  JNJ・PFE・MRK
  • 生活必需品  PG・KO・PEP
  • 公益事業   NEE・DUK・SO

セクターバランスを考慮するポイントとして、それぞれ異なった値動きをすることが挙げられます。

・相場の各局面でセクター別リターンは大きく異なる

強気相場では景気敏感セクターがディフェンシブセクターを上回る

・強気相場ではグロース株がバリュー株をアウトパフォーム

・米国株ではS&P500が各局面で最も平準化されている

*値動きを安定させたいのであれば、セクター分散投資を行い、偏りを少なくするのがベターです。

ディフェンシブ銘柄の中には、高配当・配当金再投資により長期で着実なリターンを還元してきた企業が多く存在するので、ポートフォリオ内のディフェンシブ銘柄の割合を高めに組み込めば、より安定的になります

組入銘柄

各セクターから、財務優良かつ将来も長期的にビジネスが存続していく高配当銘柄に投資していきます。

個別銘柄を選定する際にチェックしておきたい項目は、概ね以下の通りです。

(基準は人それぞれで、絶対ではありません。)

銘柄チェック項目
  • 財務状況
  • 営業利益率10〜15%以上
  • 自己資本比率50〜60%以上
  • 営業CFマージン10%以上
  • 成長性
  • 営業収益 増加基調
  • EPS (一株当たり利益) 増加基調
  • ROE8%以上
  • 現金保有量 増加基調
  • 配当傾向
  • 増配基調
  • 過去に大きな減配がない
  • 配当政策が明確である
  • 配当性向30〜50%

代表的な日本株の優良銘柄としては、以下が有名です。

  • NTT
  • KDDI
  • オリックス
  • 三菱商事
  • 東京海上
  • 三井住友銀行

米国株は、配当貴族指数を構成する65銘柄から選定すれば間違いないでしょう。

配当貴族指数は、米国株の連続増配銘柄だけを集めた株価指数で、基本的に、25年以上連続増配銘柄だけで構成されています。

代表的な構成銘柄は次の通りです。世界的な有名企業ばかりですね。

  • AT&T (減配のため除外予定)
  • エクソンモービル
  • コカ・コーラ
  • P&G
  • ウォルマート
  • マクドナルド
  • Johnson&Johnson

米国株の場合は、高配当銘柄へ分散投資できるETFを活用するのもおすすめです。

代表的なものが、VYM・SPYD・HDVです。

各ETFの概要は以下の表の通りで、それぞれに特徴があります。


VYMHDVSPYD
運用会社バンガード社ブラックロック社ステートストリート社
ベンチマークFTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスモーニングスター配当フォーカス指数S&P500高配当指数
信託報酬率(%)0.06%0.08%0.07%
配当利回り(%)3.0%程度3.7%程度4.5%程度
保有銘柄数428銘柄75銘柄48銘柄
構成セクター
エネルギー・ヘルスケア・通信・生活必需品金融・不動産等
5年リターン(直近)11.5%7.8%9.8%
特徴分散型ディフェンシブ銘柄中心景気に左右されやすい銘柄中心
メリットキャピタルゲイン狙える&分散効果相場下落時に耐性がある配当利回りが高い
デメリット配当利回りが低い上昇相場ではリターンが劣る暴落時に大きく値下がりする

それぞれメリット・デメリットがありますが、銘柄を分散しながらインカム・キャピタル双方のリターンを十分狙えるので、ポートフォリオ組み込みを検討する価値は高いと思います。

*日本の高配当ETFは、構成銘柄の個別リスクが高いものが多く選好しにくい傾向があります。

ETFの購入について(定期積立 or 一括投資)

高配当投資はインデックス投資とは異なり、アクティブ投資に分類されます。

より大きなリターンを手にする為には、相場下落時に配当利回りが高くなっている状況で一括購入する方がベターです。

もちろん長期運用であれば、定期積立でも十分なトータルリターンを得られる可能性が高いです。

理想的には、暴落時の底値で仕込むことですが、相場を読むのは中々難しいものです。

時期的な面で見れば、過去のトレンドとして、毎年夏枯れ相場と呼ばれるタイミングの8〜9月に株価が下落しやすい傾向にありますので、一つの狙い目かと思います。

より大きなリターンを狙うなら一括

手間をかけずに運用するなら積立

その人にあったスタイルで大丈夫です!

おすすめの購入方法・ルート

買い付けは証券会社経由となりますが、やはり対面の必要がなく手数料も低いネット証券がおすすめです。

日本株

単元未満の1株から購入でき、手数料・取引コストが低く、少ない資金でスマホで手軽に投資できる証券会社がおすすめです。

  • SBIネオモバイル証券
  • LINE証券
SBIネオモバイル証券(投資資金が1000万円以下の場合)
メリット
  • 1株から購入可能のため、少額から投資が可能(日本株は通常100株が最低買付数)
  • 少ない資金で、バランスの良いポートフォリオを組むことが可能
  • 月額200円でサービスが利用できる(手数料換算0.4%)
  • *ちなみに毎月Tポイントが200ポイントつくので、実質無料に相当
  • Tポイント投資ができる

デメリット
  • NISA・iDeCoなどの非課税口座には非対応
  • 単元未満株は、購入方法が「成り行き」のみ(指値買いできない)
  • 100株未満の場合は株主優待が出ない場合が多い
LINE証券
メリット
  • 1株から購入可能で、取引コストも最低水準
  • 投資信託購入・信用取引の手数料が無料
  • 東証の取引終了後の時間帯でも取引可能
  • LINEポイントで投資できる
デメリット
  • NISA・iDeCoなどの非課税口座には非対応
  • 売り手数料が割高の場合がある
  • 取扱商品数が少ない

米国株

米国株については、以下の証券会社がおすすめです。

おすすめ証券会社
  • 楽天証券
  • SBI証券
メリット
  • 手数料・使いやすさ・取扱銘柄の豊富さでメリットが大きい
  • 定期買付ができるので、長期積立投資に適している

高配当投資は、キャッシュフローの増加に直結するので、日々の暮らしが豊かになる実感があるのが最大のメリットです。

資産の増加効率がよいインデックス投資とのバランスを考えながら、将来の目標資産に向けてコツコツと投資を続けて行くことが大事ですね。

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