【高配当ETF】人気ランキング常連!米国高配当ETFの比較分析と購入タイミング〈SPYD・HDV・VYM + VIG〉

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数多く存在するETFの中でも人気が高い高配当ETFがSPYD・HDV・VYMの3つです。

これらが人気な理由としては、やはり手軽に質の高い投資ができる点が挙げられるでしょう

人気の理由?
  • 配当利回りが高い
  • トータルリターンがS&P500に匹敵(コロナショック後はやや劣後)
  • 増配による分配金の伸びを期待できる
  • 分散効果が高く、比較的低リスク
  • 運用コストが安い・手軽
  • キャピタルゲインも狙える

リターン度・リスク度・手軽さ

に優れる3拍子揃った優良投資先です。

投資を始めたばかりでも、投資先として安心感のあるETFです。

この記事では、これらのETFの特徴とポートフォリオへの組み入れ方を見ていきたいと思います。

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ETFの特徴&比較

まずは、それぞれのETFの簡単な概要について見てみたいと思います。

VYM/バンガード・米国高配当株式ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)
  • ベンチマーク FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。
  • 投資対象 高配当の410銘柄
  • 経費率 0.06%
  • 配当利回り 3.0%程度

SPYD/SPDR S&P 500 高配当株式ETF(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)
  • ベンチマーク S&P500高配当指数(同指数)のトータルリターン(経費控除前)のパフォーマンスに概ね連動
  • 投資対象 配当利回りに基づいた、S&P500指数の採用銘柄のうち配当支払い上位80銘柄 (米国の超優良企業を500社集めた「S&P500」のうち配当利回りの高い上位80銘柄に均等割合(1銘柄あたり1.25%程度)で投資)
  • 配当利回り 4.5%前後
  • 経費率 0.07%
HDV/iシェアーズ 米国高配当株 ETF(iShares High Dividend ETF)

  • ベンチマーク 通常モーニングスター配当フォーカス指数(同指数)の価格と利回りパフォーマンスに連動した投資成果を目指す。
  • 投資対象 財務健全性が高く、同時に持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国企業75銘柄
  • 利回り 3.5%前後
  • 経費率 0.08%

比較すると表の通りです。


VYMHDVSPYD
運用会社バンガード社ブラックロック社ステートストリート社
ベンチマークFTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスモーニングスター配当フォーカス指数S&P500高配当指数
信託報酬率(%)0.06%0.08%0.07%
配当利回り(%)3.0%程度3.7%程度4.5%程度
保有銘柄数428銘柄75銘柄48銘柄
構成セクター
エネルギー・ヘルスケア・通信・生活必需品金融・不動産等
5年リターン(直近)11.5%7.8%9.8%
特徴分散型ディフェンシブ銘柄中心景気に左右されやすい銘柄中心
メリットキャピタルゲイン狙える&分散効果相場下落時に耐性がある配当利回りが高い
デメリット配当利回りが低い上昇相場ではリターンが劣る暴落時に大きく値下がりする

経費率はどこも非常に安いですね!

ベンチマークも信頼度が高い指数を対象としているので安心です。

配当利回りで見れば、SPYD > HDV > VYM

分散度で見れば、VYM > HDV > SPYD

ですね!

過去5年の比較チャート

次に、直近5年間のリターンのチャート・グラフを見てみましょう。

トータルリターン(配当込) / Total Returns (including all dividends): Jul 01, 2016 – Jul 30, 2021

年平均成長率 / CAGR: Compound Annual Growth Rate. 

(Assumes 252 trading days per year.)

値動き率 / Volatility & 

最大値下げ幅 / Max Drawdown: Greatest percentage drop from the high (based on Total Return)

トータルリターン・CAGRの面ではVYM > SPYD > HDVの順となっています。

一方で、コロナショック時に特に顕著となったボラティリティ・最大下落幅では、SPYDが頭ひとつ抜けて大きいデータとなっています。

増配を加味してみる

増配力を加味し、将来的な高配当を狙うというスタンスも選択肢として考えられます。

増配を続けることができるのは利益を継続して出しているためで、企業自体に継続的に成長していくポテンシャルがあると考えられるので、インカム&キャピタル両面でのリターンが期待できます。

将来的に高配当を狙いたい場合、連続増配銘柄を集めたVIGというETFも有力な投資先候補となります。

VIG / バンガード米国増配株式ETF(Vanguard Dividend Appreciation ETF)
  • ベンチマーク  NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス
  • 構成 米国の中型・大型株を保有・過去10年間連続増配の米国の普通株(REITを除く)への投資に注力する。時価総額ベースで保有銘柄のウエートを算定。
  • 銘柄数 247銘柄
  • 経費率 0.06%
  • 配当利回り 1.8%程度
VIGの強み
  • 連続増配銘柄 →  成長力のある優良企業
  • トータルリターンはS&P500に匹敵する一方、暴落時の損失は相対的に小さく底堅い
  • 運用コストの安さ
  • 将来高配当化する可能性がある → 過去実績では10年で約2倍

増配率の比較

増配率15%程度の増配が続けば、受取配当金は5年で2倍になる計算です。


HDVSPYDVYMVIG
1年11.19%-6.54%2.26%7.62%
3年6.56%4.70%6.57%6.17%
5年4.38%6.22%4.77%
10年10.29%8.16%
トータル6.89%1.90%8.64%8.06%

VYMもVIGと同等(10年超では上回る)の素晴らしい増配率を示しています。

HDVとSPYDは、ETFとしての歴史が浅く傾向を掴むためのデータとしては十分ではない可能性がありますが、過去に減配経験がある点は留意しておく必要があります。

詳細比較(リターン・指標・組み入れ銘柄・セクターバランス)

VIGも加えた各ETFのリターン・指標・組み入れ銘柄・セクターバランスについて詳しく見ていきましょう。

(バンガード社のHPから8/20時点のデータを引用)


VYM

SPYD

HDV

VIG

Vanguard High Dividend Yield ETFSPDR® Portfolio S&P 500 High Dividend ETiShares Core High Dividend ETFVanguard Dividend Apprec ETF

Average annual performance—quarter end
YTD16.00%24.98%12.05%10.40%
YTD as-of date06/30/202106/30/202106/30/202106/30/2021
1-year37.1051.97%23.65%34.39%
3-year11.67%7.87%8.36%17.22%
5-year11.44%8.91%7.13%15.41%
10-year12.28%10.14%13.01%
1-, 3-, 5-, 10-year as-of date06/30/202106/30/202106/30/202106/30/2021
Since inception8.50%10.25%10.26%9.95%
Inception date11/10/200610/21/201503/29/201104/21/2006

設立以来の期間の違いで、長期リターンの比較は難しいですが、

直近の3〜5年のリターンを見ると、配当無視ではVIG>VYM>SPYD=HDVといった感じですね。

Equity characteristics




Vanguard High Dividend Yield ETFSPDR® Portfolio S&P 500 High Dividend ETiShares Core High Dividend ETFVanguard Dividend Apprec ETF
Number of stocks412 As of  07/31/202177As of  07/30/202175 As of  07/30/2021247As of  07/31/2021
Median market cap$150.8 billion As of  07/31/2021$29.6 billion As of  07/30/2021$135.6 billion As of  07/30/2021$169.0 billion As of  07/31/2021
Price/earnings ratio(PER)18.2x As of  07/31/202120.8x As of  07/30/202121.8x As of  07/30/202124.6x As of  07/31/2021
Price/book ratio(PBR)2.7x As of  07/31/20211.9x As of  07/30/20213.3x As of  07/30/20215.3x As of  07/31/2021
Return on equity(ROE)15.5% As of  07/31/202123.2% As of  07/31/2021
Earnings growth rate7.8% As of  07/31/2021-4.3% As of  07/30/202120.6% As of  07/30/202111.4% As of  07/31/2021
Foreign holdings0.0% As of  07/31/20212.8% As of  07/30/20210.6% As of  07/30/20210.0% As of  07/31/2021
Turnover rate11.1% As of  October45.0% As of  June75.0% As of  April14.3% As of  January
Ten largest holdings




Vanguard High Dividend Yield ETFSPDR® Portfolio S&P 500 High Dividend ETiShares Core High Dividend ETFVanguard Dividend Apprec ETF
As-of date07/31/202107/30/202107/30/202107/31/2021
1JPMorgan Chase & Co.Seagate Technology Holdings PLCExxon Mobil CorpMicrosoft Corp.
2Johnson & JohnsonIron Mountain IncJohnson & JohnsonJohnson & Johnson
3Home Depot Inc.The Interpublic Group of Companies IncVerizon Communications IncJPMorgan Chase & Co.
4Procter & Gamble Co.Public StorageChevron CorpWalmart Inc.
5Bank of America Corp.Regency Centers CorpProcter & Gamble CoVisa Inc.
6Comcast Corp.AvalonBay Communities IncPhilip Morris International IncUnitedHealth Group Inc.
7Exxon Mobil Corp.Welltower IncMerck & Co IncHome Depot Inc.
8Pfizer Inc.Equity ResidentialCoca-Cola CoProcter & Gamble Co.
9Cisco Systems Inc.Simon Property Group IncCisco Systems IncComcast Corp.
10Verizon Communications Inc.Federal Realty Investment TrustBroadcom IncOracle Corp.
% of total net assets23.30%15.68%55.09%31.50%

構成上位はどこも世界的な有名企業がずらりと並んでいます。

配当上位・均等割合のSPYDはやや異質といったところでしょうか。

Equity sector diversification




Vanguard High Dividend Yield ETFSPDR® Portfolio S&P 500 High Dividend ETiShares Core High Dividend ETFVanguard Dividend Apprec ETF
As-of date06/30/202107/30/202107/30/202106/30/2021
Basic materials4.41%2.44%0.21%3.67%
Communication services5.91%6.36%6.47%2.86%
Consumer cyclical5.57%4.97%3.65%10.47%
Consumer defensive14.13%5.13%21.34%15.32%
Energy7.12%12.88%18.34%0.00%
Financial services22.05%23.84%5.41%17.18%
Health care13.61%4.76%17.02%15.52%
Industrials10.14%0.00%6.13%17.23%
Real estate0.02%20.65%0.00%0.00%
Technology9.77%5.50%10.40%14.93%
Utilities7.27%13.48%11.04%2.81%

構成セクター割合の傾向としては、

  1. VYM   
    • 金融セクターの割合がやや高いが、全体的にバランスのよい構成
  2. SPYD  
    • 唯一不動産セクターが組み込まれている。金融と不動産で半分近くを占めており、シクリカル(景気敏感)に寄るためボラティリティ高め。
  3. HDV
    • エネルギーセクターの割合が他に比べ高いのが特徴的。全体的にディフェンシブの割合が高めなので、リセッションに強いが、景気拡大期の伸びは劣る可能性がある。
  4. VIG
    • ハイテク・ヘルスケア・一般消費財が構成セクターのメインとなっている。
    • (これらのセクターは、直近10年で市場平均を上回るリターンを残している)
    • 一方でエネルギーと不動産は一切含まれていない。

ポートフォリオ組成のヒント

配当に主眼を置いたETFへの投資スタイルとして、大きく2つに分けられます。

  • 配当利回り重視(インカムゲイン重視)
  • トータルリターン(インカム+キャピタルゲイン)を重視しつつ、将来的な利回りアップも狙う
インカムゲイン重視

○SPYDとHDVを組み合わせたポートフォリオ

それぞれ配当利回りの高いSPYDとHDVをバランス良く保有することで、セクターバランスも保たれ、高い相乗効果が得られます。

  1. 2つを保有する事で幅広いセクターをカバーできる。
    • 運用方針の違いから主要投資セクターが違う。
  2. 好景気時と不景気時に対応できる。
    • SPYDは景気敏感株が中心。
    • HDVは景気に左右されないディフェンシブ銘柄が中心。

一方で高配当重視のため、GAFAM・ハイテクグロース株がほぼ含まれていません

資産効率アップかつ分散をより幅広くするためには、

ハイテクグロース中心のQQQなどの他のETFや個別銘柄をサテライト運用し、足りないセクターを埋める選択肢もアリです。

ポートフォリオの利回りを下げたくないので有れば、少し特殊ですがハイテクセクターのカバードコールETFのQYLDも少しトッピングしてみるのもよいかもしれません。

トータルリターン(+将来的な高配当)重視

○VYM & VIG

ディフェンシブセクターを押さえつつ、成長力の高いセクターもバランス良く組み込んでいるこれらのETFは、増配率も年率10%程度と高く、低リスク・高リターンです。

さらに細かく分けて、インカムゲインを優先したいならVYM、キャピタルゲインを優先したいならVIGといったところでしょうか。

投資タイミング

一括投資か分散投資どちらがいいかは好みが分かれる部分です。

まずは、メリットとデメリットをそれぞれ整理してみましょう。

一括投資か分散投資か
一括投資
  • メリット   理論上の最適解
  • デメリット  短期的にはマイナスとなる可能性がある
分散投資
  • メリット   大きな損失の心配が少なく、心理的に負担が少ない
  • デメリット  上昇相場や長期リターンでは一括投資に劣る可能性(アクティブファンドのため、長期的に値動きが市場平均とズレてリターンが悪くなる可能性)・想定利回りの管理がしにくくなる

最終的には自分に合ったスタイルという結論でしょうか。

個人的には、相場の下落時を狙って一括投資を行い、積極的にリターンを狙いにいくスタイルを推奨します。(過去の傾向を見て、指標から一定の購入タイミングを読み解くことができるため)

*参考 購入タイミングの目安

相場の動向を図る指数として、VIX指数というものがあります。

これは、別名・恐怖指数と呼ばれるもので、市場に何らかのリスクが高まったタイミングで上昇する指数です。

一般的には、VIXが20を超えてくると、市場に警戒感が高まっている状態です。

VIXが30を超えたあたりは、逆張りでの買い場と言えるでしょう。

下のグラフは各ETFとVIXのボラティリティを示したものです。

先行してVIXが大きな動きを示すと、それぞれのETFが追随して変化しているのが読み取れます。

30-Day Volatility: Jul 30, 2018 – Jul 30, 2021

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