子供の教育費について
教育費は、住居費・老後資金と並ぶ人生3大支出の一つと言われるほど多くの資金が必要となってきます。
ネットで検索すると、教育費の細かいシミュレーションが行えるサイトがたくさんヒットしますが、オリックス生命保険の算出を見ると、ざっくり以下の通り読み取れます。
子供1人を大学まで通わせる場合、
幼稚園から全て公立としても約900万円
高校・大学を私立とした場合は約1400万円
全て私立にこだわると2000万円超
下手したら年収の倍以上…
どうしよう…
一方で、家計からこの膨大な額を拠出するための国からの支援策として、2016年1月から「未成年者少額投資非課税制度」(ジュニアNISA)がスタートしています。
*2023年に制度の廃止が決定しています
この記事では、ジュニアNISAを活用した教育資金の確保について見ていきたいと思います。
ジュニアNISAとは
制度概要
制度概要は以下の通りです。
利用できる方 | 日本にお住まいの0歳~19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在) |
非課税対象 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 |
口座開設可能数 | 1人1口座 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年80万円が上限(*1) |
非課税期間 | 最長5年間(*2) |
投資可能期間 | 2016年~2023年(*3) |
運用管理者 | 口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)(*4) |
払出し | 18歳までは払出し制限あり。(*5) |
*現行ジュニアNISAは2023年末で終了し、2024年以降は新NISA制度が開始されます。
詳しい解説については、金融庁のサイトがわかりやすいです。
メリット
活用するメリットを簡単に見てみましょう。
2023年末で制度が終了してしまいますが、2021年に始めたとして、制度が終了するまでの間に、非課税投資枠として毎年80万円を3年分の拠出したとして最大240万円の非課税投資が可能となります。
また、「子供が18歳になるまでに払い出しを行うと、通常通りに課税される」という大きなデメリットが存在していましたが、制度終了後の2024年からはいつでも非課税で払い出し可能となります。
一般NISAとつみたてNISAの中間のようなイメージかな
2023年以降は新規積立できなくなるのが残念…
運用シミュレーション
ジュニアNISAで2023年までに240万円を非課税枠で投資した場合、その後高校入学までを想定した15年間の運用結果をシミュレーションしてみましょう。
野村証券のマネーシミュレータ(https://www.nomura.co.jp/hajimete/simulation/unyou.html)を使用した結果は以下の通りとなりました。
年率5%の利回り
年利5% ▶︎ 499万円
増加の推移のシミュレーションは以下の通りです。
元本 | 運用収益 | 合計 (元本+運用収益) | |
0年目 | 2,400,000円 | 0円 | 2,400,000円 |
1年目 | 2,400,000円 | 120,000円 | 2,520,000円 |
2年目 | 2,400,000円 | 246,000円 | 2,646,000円 |
3年目 | 2,400,000円 | 378,300円 | 2,778,300円 |
4年目 | 2,400,000円 | 517,215円 | 2,917,215円 |
5年目 | 2,400,000円 | 663,076円 | 3,063,076円 |
6年目 | 2,400,000円 | 816,230円 | 3,216,230円 |
7年目 | 2,400,000円 | 977,041円 | 3,377,041円 |
8年目 | 2,400,000円 | 1,145,893円 | 3,545,893円 |
9年目 | 2,400,000円 | 1,323,188円 | 3,723,188円 |
10年目 | 2,400,000円 | 1,509,347円 | 3,909,347円 |
11年目 | 2,400,000円 | 1,704,814円 | 4,104,814円 |
12年目 | 2,400,000円 | 1,910,055円 | 4,310,055円 |
13年目 | 2,400,000円 | 2,125,558円 | 4,525,558円 |
14年目 | 2,400,000円 | 2,351,836円 | 4,751,836円 |
15年目 | 2,400,000円 | 2,589,428円 | 4,989,428円 |
年率7%の利回り
年利7% ▶︎ 662万円
増加の推移のシミュレーションは以下の通りです。
元本 | 運用収益 | 合計 (元本+運用収益) | |
0年目 | 2,400,000円 | 0円 | 2,400,000円 |
1年目 | 2,400,000円 | 168,000円 | 2,568,000円 |
2年目 | 2,400,000円 | 347,760円 | 2,747,760円 |
3年目 | 2,400,000円 | 540,103円 | 2,940,103円 |
4年目 | 2,400,000円 | 745,910円 | 3,145,910円 |
5年目 | 2,400,000円 | 966,124円 | 3,366,124円 |
6年目 | 2,400,000円 | 1,201,753円 | 3,601,753円 |
7年目 | 2,400,000円 | 1,453,876円 | 3,853,876円 |
8年目 | 2,400,000円 | 1,723,647円 | 4,123,647円 |
9年目 | 2,400,000円 | 2,012,302円 | 4,412,302円 |
10年目 | 2,400,000円 | 2,321,163円 | 4,721,163円 |
11年目 | 2,400,000円 | 2,651,645円 | 5,051,645円 |
12年目 | 2,400,000円 | 3,005,260円 | 5,405,260円 |
13年目 | 2,400,000円 | 3,383,628円 | 5,783,628円 |
14年目 | 2,400,000円 | 3,788,482円 | 6,188,482円 |
15年目 | 2,400,000円 | 4,221,676円 | 6,621,676円 |
元本の240万円を2倍以上に増加させられる試算となっています。
公立であれば高校と大学、私立であっても理系大学の学費分をこれで賄える計算になります。
これは頼もしい!
問題は想定通り行くかどうか…
ちなみに7%という高い利回りも、S&P500に連動したインデックス投信を選べば、統計的には実現可能な数値です。
S&P500 ・・・ 米国上場企業の代表的な500社から構成されるインデックス指数
インデックス投信の中で統計的に最も大きなリターンを生む一方、
分散効果もあり、暴落時に資産を大きく減らすリスクも相対的に低く、安定感があります。
例えば、
運用コストが訳す人気が高い、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の平均的な利回りは、年利6.78%が目安です。(過去20年平均)
下のグラフは、過去20年分の値動きのイメージです。(2001年時点を10,000円としています)
短期で見れば上げ下げを繰り返している局面も見受けられますが、
中長期で運用できれば7%相当のリターンを得られる確率は高いと考えられます。
また、年利7%のリターン(662万円)を売却する際、
通常であれば利益(382万円)に対し20%(76万円)の課税が生じてしまいますが、
ジュニアNISAを活用すれば、その分を節税可能です。
制度廃止が近づいていますが、間違いなくメリットのある制度なので、
子供のいる家庭は是非ともすぐ始められることをオススメします!